別居する直前の出来事②

独り言

「S子…どうしよう…」

「きらちゃん、どうしたん!何があったん!」

「T君(元夫)逮捕されたみたい」

「逮捕⁉逮捕ってどういうこと⁉」

「今○○警察から電話あって…私も何がなにか分か

らんねんけど、ご主人を逮捕しましたって…

拘留されてるから本人と連絡取られへんし、

弁護士から連絡あるの待ってください言われて…

どうしよ…私どうしたらいい?」

「逮捕って何で逮捕されたん!?」

「窃盗らしい…」

「窃盗⁉まじで!?嘘やろ⁉」

「私も何かの間違いやと思うんやけど…」

「とにかく落ち着いて、弁護士から連絡あるん?」

「T君が国選弁護人に頼んだって言うてた」

「その人から連絡あるん?」

「警察はそう言うてた」

「やったらそれ待つしかないな…」

「・・・。」

「きらちゃん大丈夫?」

「前と同じや」

「前とは?」

「今思い出した。前もT君と別れようって決意した

ら警察来て…」

「ちょっと、どういうこと?」

「あの人から離れようとするといつもこうなる」

「どういうことか分からんけど、きらちゃん離婚

するの?」

「うん。離婚するつもりで家探してるとこやった。

まだ誰にも言ってない。」

「そうなんや…全然知らんかった…」

泣きながらS子に話してるうちに、子供達がまだ小学

生くらいの頃に警察が家にきたことを思いだした。

その時も、私は夫と離婚を考えてる時やった。

夕食を準備している時にいきなり家宅捜査にきた刑事

さんから

「お子さんに見られたくないでしょうし、今日は

ご実家に帰られたらどうですか?」

と気を使ってもらった。

 

「きらちゃん大丈夫?家行こか?」

S子が心配して声をかけてくれたとき、またしても

見知らぬ番号から着信が入った。

「ごめん電話入った。弁護士かもしれんから切るわ!」

「了解!また後で電話して!」

 

S子の電話を切って着信に出ると、やはり夫の弁護

人やった。

「私、○○法律事務所のMと申します。Tさん

(元夫)の奥様でしょうか?」

「そうです。きらと申します。」

「この度Tさんの国選弁護人となりましたMと申

ます。先ほど、Tさんと面会させていただきま

した。私の方から、Tさんの今の状況についてお話

させてもらいたいと思いますが大丈夫ですか?」

「大丈夫です。」

こうしてⅯ弁護士からは、夫がなぜ逮捕されたの

逮捕された今の状況、今後どうなるのか、淡々と

説明を受けた。

とてもじゃないけど受け止められる話ではなか

った。

 

つづく

タイトルとURLをコピーしました