別居する直前の出来事①

独り言

元夫と別居する直前のある朝、2Fから降りてリビン

グに行くと、電気が煌々とついていた。

私が起きる時間帯は、夫は出勤しているか休日で

寝てるかどちらかなので、リビングの電気がついて

いることなど滅多にない。

なんとなく不思議に思いながらリビングに行くと、

夫がいない。

お風呂にでも入ってるのかと脱衣所に行ってみるも

電気もついてない。

トイレにもいない。

(電気つけっぱなしで仕事いったんかな?)

あまり深く考えずに顔を洗ってコーヒーを飲んで

ぼ~っとしてると携帯が鳴った。

見たこともない番号。

(誰これ?)

出ようか出まいか迷っていると電話が切れた。

電話番号をネットで検索してみる。

○○警察署

警察?

全身が凍り付いたように動かなくなった。

なんで警察が私の携帯に電話してくるん?

改めて煌々と電気のついたリビングを見回すと、

夫がいつも仕事に来ていくはずの作業着がそのまま

になってる。

慌ててリビングのカーテンの隙間から外を確認する

夫のバイクも止まってる。

仕事に行ってないなら夫は一体どこに行ったのか。

夫の携帯に電話してみるも電源が入っていない。

この時点で冷汗が止まらなくなってた。

(まさか?…○○警察?)

動揺する気持ちを必死で落ち着かせて、かけなおす

べきかどうか携帯の着信番号を見つめてると、

さっきと同じ番号から着信があった。

 

「もしもし」

「もしもし、朝早くにすみません。わたし、○○

警察署のYといいます。○○さんの電話番号で間違い

ないですか?」

「はい」

「○○さんご本人ですか?」

「はい」

「すみません、ちょとびっくりさせて申し訳ないん

ですけど、気を落ち着かせて聞いてくださいね。

○○さん、ご主人ね、今朝方逮捕されて、今○○

警察に拘留されてるんですよ」

「・・・(絶句)。」

「もしもし?大丈夫ですか?聞こえてますか?」

「逮捕って、何をしたんですか?」

「一応ね、窃盗なんです」

「窃盗⁉って…何かの間違いじゃないですか?」

「今からね、ご主人とお話しさせてもらうんで、

取り急ぎ奥さんに電話させてもらったんです」

「ちょっとどういうことか状況が飲み込めないです

けど…本人とは話できないんですか?」

「そうですね、逮捕されてるので…」

このへんで頭が真っ白になってしまって、何か

色々言われたと思うんやけど何を話したか思い

出せない。

 

「奥さんも不安だろうと思いますが、事件の詳細は

こちらからは話せないんです。今後のことは弁護人

を介してになりますが、弁護人どうされますか?

知り合いとか頼める人はいますか?」

「そんな人いないです」

「ご主人は国選弁護人でと言ってますがそれで大丈

夫ですか?」

「はい。お願いします。

「では近いうちに国選弁護人から連絡があると思いま

すので…」

「わかりました。」

一応、担当刑事の名前はお伝えしておくので

何かあれば今のこの番号に連絡ください。」

電話を切ったあと、走り書きしたメモを放心状態で

眺めてた。

もう何が何だか訳が分からなかった。

窃盗?夫に限ってそんなこと絶対にあり得ない。

 

どうしよう…

何をどうすればいいのか、冷静に、冷静にと考え

れば考えるほど頭の中がパニックになった。

意味もなく部屋の中をぐるぐると歩き回ってると

涙が出てきた。

(どうしよう…どうしよう…)

何でもいい、とにかく誰かの助言がほしい。

泣きながら電話したのが従妹のS子だった。

 

つづく

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